刻の無い少女
とりあえず布団に正座をして、虚から盆を受け取った。
「まだ熱いからな。」
傍らにいる虚は心配そうに何度もそれをいう。
よく分からなくて小首を傾げる。
「熱いと、口の中をやけどする。つまり怪我をするんだ。」
納得して、気をつけて蓋を開けると
真っ白な湯気と
甘い匂いがした。
そこまでお腹はすいていないが、不思議とさじを手に取っていた。
二・三度息を吹きかけて、口へ運んだ。
甘くて、
暖かくて、
とてもおいしい。
「蜜粥といって、粥に蜜を入れたものだ。」
急に食欲が掻き立てられ粥を完食した。
虚はなんだろう?和やかな表情を浮かべている。
「あっ…。」
こういう時には何か言わなければいけない気がする。
「あっ、ありがとう……ございました……。おいし…かった。」
自分でも分かっているが、たどたどしい。