刻の無い少女
傍らには、虚。
「何か食べれるか?」
うなずいて答えて、体を起こそうとして手に痛みがはしった。
手を怪我しているのを忘れていた。
頑張っても身動きする事しかできなかった。
諦めかけていたら、虚が首の下辺りに腕を入れて、起こしてくれた。
えぇとこういう時に言う言葉…。
「ありがとう……ござい…ます。」
虚はまた口元を覆っていた。癖だろうか。
小首をひねって考えても分からない。
「蜜粥でいいか。」
うなずいて答える。
というより、蜜粥しか知らない。他にも見たら分かるかもしれないけれど、たぶん分からない。
結局、私は何も知らない…。
「ほら、口を開けろ。」
さっきの暗い気持ちをどこかにしまいこんで、
言われるままに口を開けた。