写真を撮って
河川敷にて
*…*…*
「………あ」
………またいた。
私の視線の先には、河川敷にて一眼レフを持ち、そこらじゅうを徘徊する怪しい『おにーさん』。
「なに撮ってるのー?」
私が後ろから声をかけると。
「…………秘密」
振り返り、地面を見ながらぼそりと答え、また歩き始めた。
「ねぇー、教えてよー」
駆け寄って隣に並ぶと。
「………君には関係ないでしょう」
またこっちも見ずにぼそり。
…………愛想の無い人。
この自称25歳カメラマンの男の人は、リアクションの薄い、とにかく怪しい人だ。
…………しかし、私はそんなおにーさんに、秘かにべた惚れだったりする。
< 1 / 21 >