写真を撮って
迷わずそれをレジへ持って行き、会計を済ませて外へ出る。
今すぐにでも中を見たかったけど、私は自転車でいつもの河川敷へ向かった。
息を切らせて到着したが、おにーさんはまだ来ていなかった。
私は堤防に腰掛け、写真集を覆っていたビニールを引き剥がし、表紙を開いた。
『僕の愛する風景』
その写真集の中は、はっとするような美しい景色で、いっぱいだった。
眩しいような朝日。
ふわりと流れる雲。
燃えるような夕日。
きらきらと輝く星。
舞散る桜。
夏の花火。
秋の紅葉。
冬の雪。
そのどれもがありふれていて、でも胸が震えるような美しさを持っていた。
新鮮で、懐かしくて、身近に感じるけど、幻のような、不思議な写真たち。
私は時間も忘れて、それに見入った。