写真を撮って
「ねぇー、どんなお姉さんなのー?」
「……プロレスごっこで勝ったことは一度も無いよ」
「あー、おにーさん弱そうだもん。おにーさんにだったら私でも勝てるかもねー」
「……そんなわけ無いだろ」
そう言いながら一眼レフを手のひらで撫でる。
………大事なんだろうな。
何度か頼んでみたけれど、カメラを触らせてもらったことは一度もない。
もっとも手に取ったって、使いこなせる訳が無いのは私が一番良くわかっているんだけれども。
「……君のお兄さんは、風邪、ちゃんと治ったのかい?」
「あ、うん!もうすっかり元気」
私の話、覚えててくれてたんだ。
ちょっと、嬉しい。
おにーさんから顔を背けて、ついにやにやしてしまった。