写真を撮って
「………虹ってほんとは、まん丸なんだよね………」
私がぽそりと呟いても、おにーさんさんは全くこっちを向かない。
「………集中し過ぎ……。おにーさんのばか」
ふてくされながらまた呟くと、おにーさんはこっちをぎろりと見た。
「…………なんか言った?」
「………なんで悪口だけ聞こえんのよ……」
そう言っておにーさんの背中をぐいぐいと押す。
「はいすみませんでした、集中して下さい好きなだけ!カメラ命なんでしょ!」
「………まあ、間違っちゃいないけど」
そう言ってまたカメラを構えたおにーさんの横で、少し背伸びをしてみる。
………せめて、同じ目線に……。
そうしてみて初めて、おにーさんの背の高さに気づいた。
おにーさんが隣でもそもそと踵を上げ下げする私を見下ろした。
「…………何してるの」
「…………何でもない」
私がそう答えると、おにーさんは腰を屈めた。