幸せの見つけかた
「私ね、昔この近くに住んでたんだ。 だからここで、良く遊んだの。あれ? …たしか、ジャングルジムもあったはずだけど…。」





「砂場の向こうにあったよ。 古くなってたから、取り壊されたんじゃない?」



「…えっ? なんで… 知ってるの?」



驚いた表情で、俺を見てる。




「実はさ、俺も昔この近くに住んでて。この公園知ってるんだ。」



「そうだったの?!」






そう、俺も子どものころ、両親と遊びに来た思い出がある。



親が離婚してからは、バアちゃんが時々連れてきてくれた。





それを彼女に話すと、「偶然だね」と言った。




「うちも、私が18歳のとき、親が離婚したの。父親が暴力振るう人で…。 家にいるのが怖かった。だから、よくここで時間つぶしたんだ。」




砂場で遊ぶ子どもを見て、微笑んでる。





「そういえば… よくここで一緒に遊んだ子がいたな…。寂しそうに1人でいたから、声をかけて。 お姉ちゃんって、なついてくれて…。」




「…そう。」







< 161 / 204 >

この作品をシェア

pagetop