幸せの見つけかた
「まぁ…。 でも付き合えないって、言われました。」



そう言うと上野さんは、ククッと笑った。





「あいつらしいなぁー。 まぁ… そうさせてしまった原因は、俺にもあるんだろうけど。」




「上野さんに?」




椅子に座った上野さんは俺を見て、自分の横の椅子をポンポンと叩いた。



俺は黙って、そこに座った。






「もう何年か経つし、香織は昔のこと、許してくれるんじゃないかって思ってた。だけど、あいつは許してくれなかった。それくらい深い傷を負わせてしまったんだと、改めて思い知らされたよ。」



こんなに寂しそうに笑う顔、見た事なかった。







「でも、そんな香織が、頼みたい事があるって電話してきた。 …何だったと思う?」



急に聞かれても思いつかず、首をひねった。






「良平を、建設部へ異動させてやってくれってさ。」





「…えっ…」



それ以上何も言えない俺を見て、ハハハッと豪快に笑った。







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