幸せの見つけかた
妖精は首をひねりながら、答えた。



「ヤカンを叩いていただければ大丈夫です。ちなみに私は、二宮と申します。これからは、そう呼んでいただければ。」



頭を下げ、そそぎ口の中へ入っていく。



「二宮?…和風な名前だな。お前、この中に住んでんのか?」



「いえ。ここはあくまでも、現世の出入り口というだけです。ヤカンも普通に使っていただいて結構ですよ。では、また明日。」



ペコリともう一度頭を下げ、消えていった。





「………」



静かになった部屋で、しばらくヤカンを見つめる。フタを開けて中を見るが、何もない。




その後、テレビのリモコンボタンで『10』を押してみる。



すると『このボタンにチャンネルは設定されていません』と文字が出た。





うーん……。



さっきのは、何だったんだ?



俺、長い夢でも見てんのかな?



こんな非現実的なこと、信じたくないけど。




でも…彼女の不安そうな横顔は、ハッキリ覚えている。












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