幸せの見つけかた
「あぁ… 悪い。たしかに失礼だよな。しかし… ハッキリ言ってくれたな。」



そう言う上野さんは、まだ笑ってる。




なんで笑えんだ?



会社のコマとか、命令通りにしか動けないとか言われて、悔しくないのか?







「…上野さん。俺、しばらくここで、働いてみていいですか? 何も知らないくせにって言われて悔しいし。実際に一緒に働いてみたら、誰をリストラしたらいいか、見えてくるかもしれないし。」




気づいたら俺は、こんな事を言っていた。






「…ここで働く? そんな事をしなくても、人員選考は出来るよ。」



笑うのを止めた上野さんは、ゆっくり俺を見上げた。



「いえ、俺が悔しいんです。会社のいいなりに動いてると思われるのが、シャクで。…確かに今は、そうだけど。だから施設の内情を知って、リストラする理由を見つけられれば、反論できないはずです!」




「良平… お前、そんなに熱い奴だったか? …まぁいいか。お前の言い分も一理ある。でも… 本当にやるのか?」 



「はい、やります!」




俺の目をジッと見てた上野さんは、微笑んで立ちあがった。




「分かった。施設長と部長には、俺から言っておくよ。こちらでも人員選考は進めるから。最終的に、お前の意見も聞いて決めるよ。」












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