幸せの見つけかた

彼女は煎餅とクッキーをバッグから取り出し、勧めてくれた。



「ありがとうございます。でもＯＬ辞めて、どうしてこの仕事選んだんですか？　ぶっちゃけ、お年寄りの世話ってスゲー大変だし。僕、この１週間でヘトヘトになりました。」



そう言うと彼女は、ハハハッと笑った。




あっ…　やっと笑顔が見られたかも。





「人間、誰でも老いていくのよ。大変な事も多いけど、話してると勉強になる事も教えてくれるの。みんな、人生の先輩なのよ。スタッフも日常的にはグチをこぼしたりしてるけど、根っこの所では、この仕事が好きなのよ。…でなきゃ、続けられない仕事だもん。」




「…そうですね。」




…やばい。　彼女の顔が優しくて、上手く言葉が出てこない。




「佐藤くんは、どうして今の会社に入ったの？　まさか、リストラしたくて入ったんじゃないでしょ？」



「もちろんです！！」



力強い俺の言葉に、彼女は笑った。