幸せの見つけかた
「俺、建築士の資格持ってるんです。学生時代に旅した街が、スッゲー綺麗な街並みで。俺もあんな建物とか橋とか、作ってみたいって思って。それで今の会社に入ったんです。今は不動産部門にいるんですけど、いずれは建築部門に行きたいんです。」




「そうなんだ。じゃあ今の会社で、まだまだ頑張んなきゃね。」



「はい。」



目が合うと、フフッと笑ってくれた。



やっと… ちゃんと話せた気がする。



もっと話したいと思ったとき、入所中のお婆ちゃんが、家に帰ると騒ぎ出した。



なだめるのが大変で、落ち着いてくれた頃には、朝になってた。






そして、俺の1週間が終わった。



帰る時、みんなが「お疲れさま、助かったよ。」と言ってくれた。




自分がリストラされるかもしれないのに、その事で嫌みを言ってくる人はいなかった。



それって… スゲーことだと思う。



自分のクビを切るかもしれない人なのに、その事は置いといて、仕事を手伝ってくれた事に純粋に礼が言える。




器のデカイ人たちだ。




そして、彼女に面接で言われた言葉にカッとなった自分が、すごく小さく感じた。







< 67 / 204 >

この作品をシェア

pagetop