幸せの見つけかた
 『コトコトコト…』



静かな部屋に、ヤカンの震える音がする。





…ん?



振り返ると、ヤカンのそそぎ口に頭が見える。






「呼んでないけど。」



俺の前に来て、ペコリと頭を下げる二宮。




「今日は、お婆さまからのプレゼントをお持ちしました。」



そう言って、キーホルダーを手渡してきた。




「…なにコレ…」



目の前でジックリ見ると、クマがシャケをくわえた、木彫りの小さな人形が揺れている。




「俳句の会の皆さんで北海道旅行に行った、お土産だそうです。」



「はっ? 死んだ人も、旅行とかすんの?」



「もちろん。自由に動けますから。」






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