幸せの見つけかた
「私たちは、個人的な意見をクライアント様に申し上げるのは、禁じられております。 ですから… ここからは、私の独り言です。」



二宮はそう言うと、一つ咳払いをした。




「原点に帰ったらいかがでしょう。リストラするのは、赤字解消のためだったはずです。では、他の方法で赤字を減らすことが出来たら…。 リストラしなくてもよくなるのでは?」



独り言と言った二宮は、俺とは目を合わせずに続ける。



「例えば他の出費を見直して支出を抑えれば、赤字は減りますよね?」





「他で、支出を抑える…。」



呟きながら、収支報告の書類を探した。






「そうか。 もっと節約すれば、人を減らさないですむかも…」




無理かもしれないけど、やってみる価値はあるかもしれない。



でも、それには施設の人達の協力が必要だ。




「これからどこを節約できるか考えて… 明日施設の人達に協力してもらえるか、聞いてみるよ。そして、上野さんにも頼んでみる。」




「私は、独り言を言っただけです。 では、お土産も渡しましたし、失礼しますね。」



微笑みながら一礼し、帰って行った。







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