カミレンジャー!
 スーパーカーは信じられないぐらい普通のマニュアル車だった。


 せめてギアが6速でもあるのかと期待していたが、思いっきり5速だった・・・。


 窓には5月に車検を受けるためのシールすら張ってある。


 中古で100万といったところだろうか?


「あ、次の角右です。」


 イエローの言われたとおり、角を右に曲がる。


 地図を見ている様子もないし、いったい何を目指しているのかさっぱり謎だ。


 時速50キロ。これではおかしな格好をした集団のただのドライブだ。


 後ろでレッド寝ているし・・・。


「あ、もうすぐ着きますよ。レッド起きてください。」


 どこに!?


「え!あ!よ、よし総員戦闘準備だ!!」


 どうやって?


「あ、止まってください。そこの駐車場に止めて・・・。」


 言われたとおり車を止める。


 いったい自分は何をしているのだろう?


「それじゃ、行きますよ。」


 真っ先に飛び出したのはレッドだった。


「待たせたなワイルダー!!我らカミレンジャーが来た以上は好きにはさせないぞ!」


 レッドが指差した先にいたもの・・・それは、砂場で遊ぶ子どもたち。


 そのはずだ。ここは紛れもない公園である。


 何気に予想はしていたけど、やっぱり恥ずかしい。


「あ、正義の味方のお兄ちゃんたちまた来たのぉ。あれ?今日は青いのがいるね・・・ブルーだ。ブルー。カッコイイー。」


 保育活動の一環?


最初からそういえば納得したのに・・・。


「え、あ。そうだよ。お兄ちゃんはカミレンブルーだ。さぁ、みんなかかってこ~い。」


 子どもはあまり好きなほうじゃないが、人にチヤホヤされて悪い気はしない。


「子どもとじゃれているんじゃない。ブルーよ。敵は目の前だぞ!!」


 どこだよ?


 見渡す限り子どもしかいない。


「目で見えるものがすべてじゃない!!目をつぶれ。心の目で見るのだ!」


「無理です。」


 素直に言ってみた。
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