カミレンジャー!
『変形完了!』


 声が車から聞こえたとき、青山が窓から見る風景はだいぶ高くなっていた。


 全長何メートルになったのか、外からどのように見えるのか、さっぱり見当がつかないが、『ロボ』というからには人形をしているのだろう。


 そう願いたい。


「やったかブルー。上出来だ。さぁ、そいつを使ってワイルダーをやっつけてくれ。」


「どうやって?」


 ごく自然の質問だった。


 もはや目の前の運転席は自分が知っているマニュアル車の運転席じゃない。


「気合だ!!」


「てか、私たちも知らないんですよ。カミレンロボの操縦はグリーンにまかせっきりでしたから・・・。」


 やるな緑川のおじいちゃん。


「ドウシタ?かみれんろぼ。ソッチカラ来ナケレバ、コチラカラ行クゾ。」


 こちらに向かってくる滑り台。律儀に他の車を避けてくるあたりがすばらしい。


「え、あ。こうなればやってやるさ。『パンチだカミレンロボ!!』」


 適当なレバーを引いてみる。


「!」


 パンチが出た。


『おぉ!!』


 レッドとイエローと、野次馬となっている子どもたちから歓声が出た。


 まさか、ホントに出るとは・・・もしかして俺って天才?


「その勢いだいけ、ブルー!!」


「あ、ハイ。よーし、次は『キックだカミレンロボ!!』」


 やっぱり適当なレバーを引く。


「!」


 キックが出た。


『おぉおぉ!!』


 歓声が二倍になった。


 あれ?


 しかし、ここまで来て青山は気がついた。パンチのときと、キックのときに同じレバーを引いていたことが・・・。


 もしかして・・・

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