あやめ【短編】

第一章 記憶

生まれてから１４年。

長くて短いこの月日に私はまだ運命の人に出会ったことがなかった。





「ねぇ、今年雪降ると思う？」


連休が過ぎた登校初日。

何気なく外靴を下駄箱に入れた時に友達がふと口にした。


その日はいつものように晴れた空で時折除く日差しが心地良かった。


「降るでしょ。絶対。」


隣にいたもう一人の友達が答える。


「えぇ？でももう１１月の下旬だよ？遅くない？」


…そう言えば…降らないなぁ。


私は廊下の外から見える景色を横目で眺める。


「やっぱり温暖化のせいだよねー。」


「え！？何？温暖化ってそんなにヤバいの？」


友達が話している横で、私は違うことを考えていた。


…雪降らなかったら雪祭りどうなるんだろ。

そんな感じ。