あやめ【短編】
「ベルー!!どこー!?」



捜して10分後。


足の速いベルに追いつける訳がなく、一人取り残されてしまった。


目の前に残っているのは足跡と真っ暗なトンネル。



「…やっぱり…この先に行ったんだ。」




ゴクッと唾を飲み込む。


このトンネルは幽霊が出るって有名なスポットだと思うんだけど………。




先は長いのか、ただぼんやりと薄暗い光だけ見えた。



「よし……。」



私は今から走るようなポーズをして一気に駆け抜けた。



はぁ はぁ はぁ



「…何よ…!このトンネル!……長すぎ!!」



走っても走っても、出口に近付けない。



汗が背中に滲んで、膝がガクガクと震えるのがわかった。




はぁ はぁ はぁ



ザク ザク ザク





…………え………!?






もう一つ……



足音が…




ザクザク…




誰か後ろにいる!!







私は涙が溢れると同時に足を速める。


でもそれ以上に後にいる人もスピードを上げるのがわかった。






やだ。



【小学校教師殺害】


やだ…!



【殺害】






ガシッ。

「きゃぁぁぁぁぁああっ!!」








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