あやめ【短編】
私は額の汗を拭うと、制服に着替えた。


教科書に手をのばそうとしたとき、テーブルに置かれた青いハンカチに目が止まる。



…そう言えば勿体なくて使わなかったんだっけ。


だってこれブランド物だよ?


私はハンカチを手にすると何か違和感を感じた。



ん?


「何か入ってる…。」


ハンカチを広げると、中には名刺が入っていた。



【ホテル・RIAPUTON】

リアプトン……?


どこなんだろう。


名刺を裏にすると、何かが書かれてあった。




“ここで待ってる”




えっ…………!?


…なんで?




「彩芽ー!起きたのー?」


下でお母さんが呼んでいるのに気付き、私は急いでそれをリュックに突っ込んだ。



「今行くー!!」



私はそのまま部屋を出て行った。








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