あやめ【短編】
歩いて10分位たったとき。


私達は大通り辺りまで来ていた。


「どうする?時間あるしお茶しようか?」


唯斗さんがキョロキョロと辺りのお店を見ながら聞いてきた。


「お茶っ?行きた………あ!」


言いかけてから私はあることに気付いた。


“リアプトンは大通りあたりだよ”


どうしよう…行った方いいのかな?


でもあんまり知らない人だし…


でもでもお世話になったし怪しい人じゃなさそうだし…


「唯斗さん。私…友達と約束してたの忘れてて…ごめんなさい!」

「えっ?」


唯斗さんの返事も聞かず、私は逆方向へと走った。




大通り辺りにホテル…

どこ?


大通りを抜けて信号を渡ると、すぐ近くに大きなビルが見えた。


「あれだ…。」



私はホテルに向かう足を速める度、優作のあの綺麗な顔を思い出すのだった。







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