あやめ【短編】
―――――――……
コトコトと音がする…
何だか懐かしい…
優作は目を覚ますと、ベッドに寝ているのに気が付いた。
額には冷たい氷とタオルがかけられている。
………なんだ…?
キッチンの方へ顔を向けると、鍋が静かにコトコトと沸騰した音が響いていた。
どうしたんだ?俺は…
あの時倒れて…
起き上がると同時に急に彩芽の寝顔があった。
一緒、天使かと思うくらい優しい顔…
窓から照らされる光は彩芽の髪をキラキラと照らしていた。
…あ…やめ?
手が彩芽の白い頬に触れると、彩芽は目を覚ました。
「……あ………」
「優作さん!目覚めたんですねっ?大丈夫ですか?」
「…ああ……。」
「急に倒れててビックリしたんですよ。最近栄養とってないんじゃないですか!?」
彩芽はキッチンに向かう。
暫くして、彩芽はお盆に何かを乗せてやってきた。
「どうぞ!特製雑炊です。」
優作は手にスプーンを掴むと、おそるおそるそれを口にした。
「……おいしい。」
ポソッと呟く優作を見て、彩芽は微笑んだ。