あやめ【短編】
オレンジとブルーが混ざった何とも言えない空……


真っ暗で先が見えない道を見て私は唇を噛んだ。


ここにルウがいるかもしれない。


歩み始めると、椿の花が現れた。


いくつもの数の椿が、道を塞いでいる。


手でかき分けると椿の花がポトポトと地面に落ちた。






薄暗い路地には汚れたテレビや腐れた鉄くずが落ちて霧だわずかに立ち込めている。







「…ルウ…どこ？」


お気に入りのヒヨコのキーホルダーが揺れる。



「ルウ…」



ガシャン。



急に物置が聞こえた。

フェンスの向こうに影が見える。


誰か…いる？


私はフェンスの金具を掴むと、その光景に目を見開いた。














小さな、私より大きい男の子がいた。



その目は虚ろで、でも怒りと狂気に満ちた悲しい顔…


その顔は下へと向けられている。





私はゆっくりとその下を見た。




男の人がお腹を抱えて倒れている。


男の子の手に持たれた包丁から赤い液体が地面へ流れていた。




「……あ……ぁ…」


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表紙・目次

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