あやめ【短編】
この人は本当に人を殺したのだろうか―…?


あれは悪い夢だったのでは…?





こんなにも優しい目をしている人が、人を殺したりなんかできるの?





「優…お兄ちゃん…?」


「優作でいいよ。恥かしいから…」




「優作…は、先生を殺したの?」


優作は黙ると、私を腕から話した。





「お願い…教えて?」

私は優作の腕を掴む。









「…殺して…はいない。俺が行った時には倒れてた。」



「どういうこと?」



「俺は…たまたま猫を見つけたからこの場所に来た。あの男はもう誰かに襲われて倒れてた。」


やっぱり…他に誰かが…





「でも。…まだ生きてたあの人を…俺は見殺しにした。」


「…優作…」







「彩芽。俺は君とは一緒にいられないよ。」


「ど、どうして?」




「俺は…仮にも人を見殺しにしている。…彩芽を幸せにできない。だから……」


「そんなの関係ないよ!!!」



大声をはる私を見て、優作は驚く。



「そんなの…あの時私が見つけたときだってまだ生きてた…。私だって助けられたかもしれないのに見殺しにしたもの!!優作だけ…酷いよ。なんで自分だけ責めるの!?」


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