あやめ【短編】
「わかってる。彩芽にはもう会わない…。」


優しくて儚い君を…


俺は傷付けたくない。


「それでいいのよ。幼馴染みの私がずっと優作の側にいてあげるから…」




彼女の声が、寂しく響いた。


―――――――………


「彩芽ちゃん……」


家に帰ると唯斗さんにバッタリ。


あの時から顔が合わせずらくて…



しかも初恋の相手が唯斗さんじゃなかったっていうのもあるし。


「ただいま…」


私がそう笑うと、唯斗さんはほっとした表情になった。


「この前…ごめん。僕どうかしてたよな。」

「う、ううん……」




私は首を横に降ると部屋へ駆け込んだ。







驚いた。





唯斗さんと喋ってるのに全然ドキドキしない…



肩についた椿の花びらが床に落ちた。







優作が犯人じゃなくて…本当に良かった。




なのにどうして不安なのだろう?







また…会いたい…
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