あやめ【短編】
私はそのまま眠りに落ちた。










夢を見た。








ここは…どこ?



真っ暗で透明な世界に私はぽつんとたたずんでいた。



『こんばんは。』



耳にすぅっと入ってくる滑らかな声。


振り向くとそこにはヒヨコがいた。



「あなたは…」


『君は彩芽だね。』



「私の名前知ってるの?」



あれ…


これ夢だっけ?


だってヒヨコが喋るわけないし…



『迷ったの?』



「え?」


『記憶が戻ってよかったね。』


「うん!優作との思い出も蘇ったし…」


『でもどうして不安なの?』



不安……


そう…私迷ってるの。

『犯人かもしれないから?』


「!…でも優作は違うって…」


『あの瞳はどうしてあんなに歪んでたのかな?』


…虚ろで怒り狂ったような悲しい目…


『彼の他に誰が殺すのかな?』


「……違う……」


『彼はアイツを恨んでたんでしょ?』


「違うよ…優作は嘘なんてつかない…」


『彼が………』


「やめて!!!」



私が叫ぶと、ヒヨコは首をぷるぷる振った。



『真実はもっと奥深く。信じれば君は共犯者なんだよ。あやめ。』












目覚めるとつー…と涙が伝った。





哀しい。



どうして嘘つくの。



優作……


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