あやめ【短編】
一週間後。



優作にはまだ会っていない。


でも私は必死に優作の居場所を捜した。




“もう一度逢いたい”


ただそれだけ…








それからまた三日後。


私は何も掴めずにいた。


歩き疲れて公園のベンチに座り込むと、溜め息を一つつく。




「もう…あえないのかな……」


そんなのやだ。


駄目だよ…



目の前がクラクラする…。



「あなた大丈夫!?」



突然誰かに身体を起こされた。


「あ………」



女の人だ。


綺麗な人…




「あなた……」



女の人は驚いたような顔をする。



「あっ…すみません!たぶん貧血だと思うので…」


「そ…そう…。」



女の人が苦笑いすると、パサッと地面に何かが落ちた。



「…あ。名刺、落ちましたよ。」


その名刺を手に取ると名前がちらっと見える。



相沢…美津枝?


“美津枝”はすかさずそれを私の手から取ると、ニコッと笑った。

「あなたはどうしたの?誰かと遊んでたの?」


子供扱いをしてるのか…私は少しムッとする。


だってもう中2だよ?

遊ぶとか…(あるけど)ちょっと失礼じゃない?


「いいえ。違いますけど。」


「あらそう?それじゃあ…」


「人を捜してるんです。」


美津枝はピクッと反応すると、また私に笑顔を向ける。


「…誰を?」


「言ってもわからないと思いますけど…」


「そんなのわからないじゃない。」




少し考えて、口を開いた。



「…大人の…男の人なんですけど、神木優作さんって人捜してます。」


美津枝はそれを聞くなり笑顔を消した。


何か考えているのか、全く喋らなくなった。


「…美津枝さん?」












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