あやめ【短編】
バスに乗っている時間ずっと考えていた。



優作の過去。




大好きなお母さんに逢いたくて、でも事故にあって…


そしてその先生を……






どうして…なんで私は優作の側にいてあげられなかったのだろう


そしたら絶対私があの男を殺したのに…


優作よりも先に私が…








でも、自分が今考えていることが凄く怖かった。


ぎゅっと目を瞑って、ひたすらこの感情を消そうとした。







ポケットの中の携帯が、何度も何度も明かりがともっている。



たぶんお母さんからだろう…


時刻はもう夜の9時。

普段ならもう帰っている時間…


お母さん…心配してるんだろうな…









私は携帯を開くと、電源をOFFにした。










ごめんね。




私は帰らない。


優作に会うまでは、絶対に。



< 53 / 66 >

この作品をシェア

pagetop