あやめ【短編】
―――――――………バスを降りた場所は、何もない田んぼと畑だけの田舎。


真っ暗な小道には街灯がぽつりぽつりとあるだけだった。






「……来たのはいいけど……どこに行けばいいの?」



私は家が一つもないことに驚きながら、小さく溜め息をした。



ここにいるわけにはいかないし…歩かなきゃ。


ショルダーバッグを掛けなおすと、前へと歩き出す。









東山…


優作が育った場所なのかな…






空を見上げると、数えきれない星が輝いていた。





そういえば…昔言ってたっけ…






『あやめ、知ってる?この本の星は北極星っていうんだよ。』


『ほっきょくせい?』


『いつも同じ位置にいて、一番輝いてるんだ。』



『じゃあ…皆寂しくないね!』


『え?』


『いつも同じ場所でずっと側にいてくれて、いつも見守っていてくれるんだよ。』







『………そうだね。』


















優作……
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