あやめ【短編】
最終章 変わらない気持ち
――――――…………施設から離れたころには、もううっすらと空が明るくなっていた。
私はおばさんから貰った西区東山のアパートマンションの地図を片手に長い田んぼの道を歩き続けた。
ふいに私は携帯の電源を入れたとき、その着信履歴に驚いた。
お母さんやお父さん、友達……
唯斗さん………
私はしばらく画面を見ていると、急に電話がなった。
「…唯斗さん……」
着信は唯斗さん。
私は迷うことなく静かに電話に出た。
「……はい。」
『…彩芽ちゃん!?彩芽ちゃんだよね!?今どこにいるんだ!?お父さんとお母さんに今知らせ…』
「待って。唯斗さん。」
私は、小さく強い声で唯斗さんを止める。
「……このまま聞いて?」
電話の向こうで唯斗さんの心配そうな表情が見えた。
…でも、伝えなきゃ。
「…唯斗さん。私ね、ずっと唯斗さんに憧れてたよ。優しくて勉強が出来て…」
『…彩芽ちゃん?』
「…でも唯斗さんはいつまでも私の大切なお兄さんだよ。」
『………………。』
ごめんね…
大好きだったよ。
「バイバイ。“お兄さん”。」
震える手で、電源ボタンを押した。
どうしても涙が止まらなかった。
大切な人達を…私は手放したのだから。
私はおばさんから貰った西区東山のアパートマンションの地図を片手に長い田んぼの道を歩き続けた。
ふいに私は携帯の電源を入れたとき、その着信履歴に驚いた。
お母さんやお父さん、友達……
唯斗さん………
私はしばらく画面を見ていると、急に電話がなった。
「…唯斗さん……」
着信は唯斗さん。
私は迷うことなく静かに電話に出た。
「……はい。」
『…彩芽ちゃん!?彩芽ちゃんだよね!?今どこにいるんだ!?お父さんとお母さんに今知らせ…』
「待って。唯斗さん。」
私は、小さく強い声で唯斗さんを止める。
「……このまま聞いて?」
電話の向こうで唯斗さんの心配そうな表情が見えた。
…でも、伝えなきゃ。
「…唯斗さん。私ね、ずっと唯斗さんに憧れてたよ。優しくて勉強が出来て…」
『…彩芽ちゃん?』
「…でも唯斗さんはいつまでも私の大切なお兄さんだよ。」
『………………。』
ごめんね…
大好きだったよ。
「バイバイ。“お兄さん”。」
震える手で、電源ボタンを押した。
どうしても涙が止まらなかった。
大切な人達を…私は手放したのだから。