あやめ【短編】





俺は、






人を憎んだ。











『ねぇ優作。お父さんまた帰ってこないみたい。』



寂しそうな母の横顔が子供だった俺でもはっきりと覚えている。






母さんをぶつアイツ。



泣き崩れる母さん。









でも、俺には優しいアイツ。






…ガキだった俺は何故アイツが母さんだけを苛めるのかわからなかった。






『優作…ごめんね。』



母さんはいつしか家を出て行った。



たぶんアイツなら俺をちゃんと育ててくれるだろうと思ったのだろう。


これから始まる苦しい生活に、母さんは俺を巻き込みたくなかったのだ。










しかし



アイツは俺を育てるどころか家にも帰ってこなくなった。










他の女と暮らすために母を―……?









人を憎んだのは


これが初めてだった。


< 66 / 66 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

恋ren
アズ/著

総文字数/1,027

詩・短歌・俳句・川柳3ページ

表紙を見る
想愛
アズ/著

総文字数/263

恋愛(その他)2ページ

表紙を見る
〇〇志願者相談所
アズ/著

総文字数/1

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop