あやめ【短編】
「……べっ、勉強しますよっ!!」


私は赤くなった顔を隠すように教科書を被る。




…やばいよ。


嬉しい。


その後も私は恥かしくて顔が緩まないように必死に下を向いて話した。











――――――……



オシャレなバーに、二人の影があった。



「…雪が強いわね…優作。」


腕に絡まる女をお構いなしに煙草を口にする。



「ねぇ、このままじゃ帰れないんだけど…泊めてくんない?」


上目使いで企んだように微笑む女を横目で見ると、優作は立ち上がった。



「勘弁してくれよ。お前みたいな香水臭い女、部屋に入れないから。」



「はぁぁ!?」


「じゃーね。お金ありがと。」



そう言うと、バーを出て行った。
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