嘘つき。
―長い廊下を歩いていると、開いたドアから40代くらいの女性が顔を覗かせた。
「祈沙ちゃん、蓮くん。おはよう」
優しい笑みをこぼす女性。
『おはようございます、先生』
――あたしが住んでいるのは、児童保護施設。
家庭の事情などで家に入れない子、親のない子供達が集う場所。
あたしはここに、8歳の時に来た。
今年で…うん。8年目。
もう、8年か…
あたしは今、16歳。
――あと2年でここを出なければならない。
"18歳になったら自立すること"
…これがここの決まりだから。