にゃんころ話
じいちゃん。



じいちゃん。



じいちゃん。




思い出した。


俺はここに
建っていた
家で、


じいちゃんと
暮らして
いたんだ。



男二人の

生活。







違うか。

男一人と
猫一匹の

生活。



空き地に
向かって
再び
歩き出す。



じいちゃん。



じいちゃん。



じいちゃん。





ドアのあった
位置に
座る。




「にゃー。」




昔していた
“ただいま”
の合図。





じいちゃん。


帰ってきたよ。


開けて。


じいちゃん…。





目から何かが
溢れてくる。




熱い。




何だろう?





その熱い何かは

拭っても
拭っても

止まらない。







生まれて
初めての






涙だった。
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