にゃんころ話
知らないだろう。


猫が何を
思っているか。



猫は自由奔放で
一人を好む?


違う。


本当は
違うんだ。



猫の鳴き声が
人間の赤ちゃんの
泣き声に
似ているのは

知っている
だろうか。



人間の
赤ちゃんが

母親に
愛されている
姿を見て、

自分も
あんなふうに
愛されるかと
思って、


真似した。




のら猫が
のら犬より
人懐っこく
ないのは、

人間から
離れられる
瞬間が
恐いから。




猫が
人間に
なつきにくいのは、


人間の愛を
失うのが
恐いから。



猫は
一人なんか
好きじゃない。


本当は怖い。
本当は
愛されたい。


嫌われるのが
怖くて、
捨てられるのが
怖くて、
去っていくのが
怖くて、



いつも
一人でいる。





猫だって
感情がある。






愛を失うのを、
心底恐れている

それだけ。





人間に愛されたい。






その思いを、

じいちゃんは


わかってくれて
いるようだった。
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