にゃんころ話
海への道は

覚えていない。




勘だけを
頼りに
歩き続ける。









見つからない。




あの広大な
景色は

覚えている。





どこだ。



じいちゃん…。






「にゃんころ…。」





呼ばれた
気がした。





振り返り、

全速力で

駆ける。



にゃんころ…。



かっこよくない
ネーミングだ。



口がほころぶ。




センス無いよ。

じいちゃん。




けど、



今では、


この名前が


いとおしい。



この名前で
よかった。


俺の名前だ。


俺だけの、

じいちゃんに
もらった
名前。








出会ったのが

じいちゃんで

よかった。













遠くに
水平線が
見えた。
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