にゃんころ話
起きると、
雨が
まだ降っている。


あの時は
すごく
晴れてた。



思い出す。



どんどん
どんどん


思い出が



頭の中に



浮かび上がる。





ここで
じいちゃんと
おにぎりを
食べたんだ。





ここで
じいちゃんに
海水に
入れられた。





じいちゃん。





俺、

じいちゃんの
生きた証、
何一つ
作れなかった。






じいちゃんが
いたことは、


俺の
記憶でしか、
残ってない。






猫だから?







俺が
人間だったら、
違ってた
かな?


火事の
中から
じいちゃん
のこと

助けて
あげられ
たのかな。



思わず
俯く。



自分の
足が見えた。




俺は猫だ。


人間じゃない。





猫で
あることが、



こんなにも
悲しい。
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