にゃんころ話
車の運転手は
居眠り運転
だった。



運転手が
戸惑う。


俺を拾い上げて、
道の端に置き、

腕時計を見て
慌てて

車を
発車させた。




頭が痛い。




体が
動かない。




それでも
必死に、


木に向かって
歩き出す。



あと

ちょっと…

あと

ほんの少し…





途中で力尽き、
倒れこむ。




何だか
あったかい。




自分の血だ。






誇らしい。






じいちゃんの事


俺、


守れたよね?




俺、


じいちゃんの事


猫だけど


猫として


守れたよね?




じいちゃんの


誇りに
なれたかな。










「にゃ…」










目をつぶる前、

一瞬

あの犬を
思い出す。


俺がいなくて
食べて
いけるのか?


…大丈夫だろう、


あいつは犬だ。



猫とは違う。


愛を失うことを
恐れない。




犬を
羨ましいと
ずっと感じてた。










久しぶりに
地上に
光が差し込む。



雲が割れ、
太陽が
出てきた。







雨が止んだ。
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