にゃんころ話
雨が止んで、

猫の死体だけが

アスファルトに

残った。



近所の住人が
同情し、

すぐ傍にあった
梅の木に、
猫の死体を
埋めた。



一緒に
なれたね。


いつでも
一緒だよ。



もう、

決して
離れない。





にゃんころは


ずっと


じいちゃんと


一緒。






春、
梅の木は

真っ赤で
大きな実を
一つだけ
つけた。




にゃんころを
捨てたのは
人間。

にゃんころの
大切なものを
奪ったのも
人間。

にゃんころを
殺したのも
人間。


けれど、

にゃんころは
人間を
うらまない。



なぜなら、



にゃんころに
愛を与えたのも

人間だから。



にゃんころは
人間に、
幸せを
もらった。



にゃんころは
本当に
幸せだった。









猫は、


愛を求めて


日々、


泣き続ける。
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