にゃんころ話

今日は
雨だ。



全身の
毛が濡れる。


寒い。


落ちていた
雑誌の隙間で
雨宿りをする。


人間が
俺に気づいて
手を差し伸べた。



「にゃ。」



とりあえず

愛想を
振りまく。



人間は
嬉しそうに
しばらく
俺を見ていた。




しかし、
しばらくすると


人間は
立ち上がり
時計を見て
去っていった。



いつもの事。



俺は猫。



その場限りの
愛情で
生きている。





風が吹く。





濡れた体は
温まらない。


寒い。


体を丸め
強く目をつぶる。


深い眠りに
落ちた。
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