にゃんころ話

ダンボール

ダンボールに
吸い寄せられる
ように、


そっと
近寄って行く。



俺は

ここを

知っている…?




わからない。




小さい時に


来た事が


あるのだろうか。







…小さい頃。







覚えてない。




ちゃんと
考えたこと
なかった。


小さい頃…。


俺は今
この世に
生まれてから

何年に
なるんだろう。




目の奥が
鈍く痛む。




空き地に転がる
小さい石が

足の肉球を
突き刺す。




じわりと
血が滲み出る。







その傷を
気にも止めず、






心の芯が
震える感覚に

ただただ、
戸惑っていた。
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