家庭教師な彼氏
「大丈夫だよ?うち、どうせ1人やし…
家族、居ないから」
「・・・え?」
「うち、家族居ないの」
「・・・」
先生は黙り込んだ。
「ずっと1人やから。親戚の人は居るんやけど、孫が出来てからうち・・・捨てられちゃって。1人でここに住ませられてるの。」
生活感の無い部屋。
静かな家。
話す相手は居なかった。
いつも、1人だった・・・
「うち、誰にも必要とされてないんよ…」
―― ポロッ
自分でも驚いた。
何があっても零すことがなかったものが、
胸の奥底に閉まっていたはずの想いが
この瞬間、
全てが溢れ出てきた。
そしたら
先生はゆっくりとうちに近づいてきて
「・・・っ!」
静かにうちを抱きしめた。