1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
隣にいるお兄さんを見上げると、あたしの肩に手をまわして抱き寄せた。お兄さんの温もりに体の震えが少しずつおさまっていくのを感じた。
「金は明日中に用意します」
「……聡一、お前にもこの際言っておく。取り立ての時は威圧的な態度で挑めって教えた意味が分かるか? 仲良く世間話なんかしてたら情がわくだろ? そんなんじゃ、この仕事は続けられねーぞ?」
「はい。すんません。以後気を付けるんで今回だけは見逃してやってはくれませんか?」
おじさんは大きなため息をつくと、契約書を取り出した。
「今回限り。二度目はねぇからな? ま、こっちは金さえ回収できれば問題ねーから構わねーけど。明日、必ず金を持ってこい」
「はい、ありがとうございます」
へ……もしかして……あたし、助かった?
「お、おじさん、ありがとう!」
「はぁ? 俺はまだ26だ。おじさんじゃねぇ!!」
……お礼を言ったのに怒られた。隣のお兄さんは口を押さえて笑いを必死にこらえていて
あたしもおかしくなって笑った。