1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「お兄さん、本当にありがとう」


「……ったく。お前はズルいんだよ! あんな時だけ、泣きながらお兄ちゃん呼ばわりしやがって」



だって本当にあの時は、あたしの味方はお兄さんしかいなかった。


毎日あたしの様子を見にきてくれていたお兄さんを本当のお兄ちゃんのように感じていたから。自然とお兄ちゃんって呼んでた。



事務所から出ると、お兄さんは自販機でコーヒーとコーラを買って、また同じ車に乗せられた。



「ほら」


「わぁ! ありがとう! あたしコーラ大好き!」



受け取ったコーラの蓋を開けて、一気に飲んだ。炭酸が喉を刺激して痛いけどこれが快感。お腹にもたまるし、貧乏のあたしにとっては最高な飲み物。



「お兄さん、どこ行くの?」


「金の調達。あと、お兄さんって呼ぶのいい加減やめろ」


「お兄ちゃんがよかった?」


「よくねーよ! 俺の名前は聡一だ。覚えておけ」


「聡一……さん」


「さんはいらねぇ」


「聡一……くん」


「くんもいらねぇ」


「聡……ちゃん」


「はぁ!?」




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