1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
「初めまして、ラミカの従兄にあたります。水森聡一と申します。本日はよろしくお願いいたします」
「こんにちは。ラミカさんの担任の陸です。どうぞ、おかけ下さい」
古い本の匂いがする進路指導室。挨拶は完璧。隣に腰かけたラミカも笑顔で俺を見てくる。
それにしても随分若い教師だな。茶髪に眼鏡、微かに香る煙草の匂い。眼鏡の奥の目を見ただけで分かる。
こいつも昔、ヤンチャしてたな。
「早速ですけど。昨日、初めてラミカさんから両親は県外に出稼ぎに行ってると聞いて驚いたのですが」
「すみません。色々と手続きすることが多くて、学校へ連絡するのが後になってしまったんです」
「通常は学校へ一番に連絡するものですけどね……。従兄であるあなたの家から通学してるわけですね。保護者の連絡先として、お兄さんの住所と電話番号を聞いてもよろしいですか?」
「はい」
なんかムカつくな、こいつ。住所と携帯番号を告げると、次の質問をしてきた。
「失礼ですが職業は?」
「え……」
用意してなかった質問に言葉がつまる俺。借金の取り立てで毎日たくさん家と店舗をまわってます……なんて言えねぇ!