1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「聡一お兄ちゃんは保険の営業マンです」



ラミカがすかさずフォローしてくれた。助かった。



「名刺を頂けますか? 勤務先の住所も念のため聞いておきたいので」


名刺!?んなもんあるわけねぇだろ。普通ここまで聞くか?



「名刺は仕事以外の時は持ち歩いておりません。勤務先は後日ラミカに伝えさせますので」



嘘。忘れましたでラミカには卒業式まで通してもらおう。



「ちょうど保険を変えようか迷っていたんですよ。お宅の会社のガン保険でオススメのプランはありますか?」



……さっきからこいつ、カマかけてんな。俺のこと確実に疑ってやがる。



「新人なので勉強中です。そんな世間話より、ラミカの進路について話しませんか?」



俺のさっきまでの優等生オーラは一気に切れて、冷たい空気が小さな部屋に流れた。




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