1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



沈黙を破ったのは担任だった。フッと笑って一枚の紙を見せてきた。



「……そうですね。じゃ、ラミカ。提出した進路希望の紙には就職しか書いてないけど?」



ぷっ……見事に第三希望まで『就職』しか書いてねぇ。バカみたいな回答に吹き出しそうになった。



「進学は考えてないです。働けるならどこでもいいんです」


「就職にしても何かやりたいことはないのか?」


「うーん……」



首を横にひねるラミカ。そういえばこいつの夢って何なんだろ?



「先生はてっきり服飾専門に進むかと思ってたけどな」



あ……そうだ……


ラミカは服を作るのがうまかった。



「服は趣味で作ってるだけだし、専門学校は学費が高いから考えてません。とにかく給料が安定したとこがいいです」


「いや、それでも服が好きならアパレル関係とか」


「社引きがきいても、そこのブランドの服を身に付けなくちゃいけないなんて嫌です。好きなものを自由に着たいから。もういいですか?」




< 113 / 262 >

この作品をシェア

pagetop