1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
「こんばんは、聡一様。杏(あん)様は締切前で仕事部屋ですが……そちらの女性の方は?」
出迎えてくれたのは黒髪にスーツにネクタイ。きりっとしたメガネをかけた優秀な執事のような男性。
口調も丁寧で、まるでおとぎ話の絵本の中に飛び込んでしまったみたい。
「ちょっとワケアリでな。ラミカだ」
「初めまして、ラミカ様。私は杏様にお仕えしております皆吉(みなよし)と申します」
「は、初めまして。水森ラミカです」
執事だっ!童話の世界だけだと思ってたのに本物の執事がここにいるー!!あ、握手してほしい。
「皆吉さん、悪いけど急用なんだ。五分でいいから姉貴と話せねーかな」
「五分ですか……かしこまりました。聞いて参りますので、こちらのゲストルームでお待ち頂けますか」
皆吉さんは腕時計を見ながらメガネのフレームをクイッとあげて、ゲストルームへとあたし達を案内してくれた。