1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
「天然記念物ー! 気に入ったぁ! ラミカちゃん、よろしくー」
ブンブンと笑顔で握手をされた。よ……良かった。
「ファンでもないのに持ち上げられるの嫌いだからさ。素直な子は大好きよ。で、何か用?」
「300万貸してくれ」
「いいよん。皆吉ー金庫から300万持ってきてー」
え、ええええ――――!!??
「り、理由も聞かずにそんな大金いいんですか!?」
「聡一は裏切ったり飛んだりすることは絶対ないからね。危ない職に就いてるけど、私もいつ人気が落ちるか分からない漫画家。姉弟揃って危険な橋を渡っていて似てるのよね」
「はぁ」
姉弟……この二人には本物の信頼関係があるんだ。今のあたしの家族はバラバラだから
ちょっぴり羨ましくなった。
「ハリーポッターは知ってるくせに漫画は読まねーのかよ?」
「ハリーポッターは図書室にあるから。うちはテレビもなければ、漫画を買うお金もないの!」
「へぇ、ラミカちゃんちって苦労してんだ」
「はい。今日借りに来た300万はうちのお父さんの借金を返済するためのお金なんです……必ず杏さんにお返ししますから!」