1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
「じゃあ、ラミカのこと頼むな」
「おう、任せろ」
「聡ちゃん、お仕事頑張ってね! 行ってらっしゃーい!」
アパートの下で二人と別れて事務所へと向かった。
鞄の中にはきっちり300万が入っている。事務所のテーブルでコーヒーを飲んでいるアニキに封筒ごと渡した。
「300万です。確かめて下さい」
「ふん、本当に持ってくるとはお前も相当あのねーちゃんに惚れてんな」
「はい」
「若いっていいな」
「……すんません。あいつ、失礼なことを」
「お前も笑ってただろ! 俺は全く気にしてねぇーよ!」
……嘘バレバレっす。ラミカにおじさん呼ばわりされてショックだったのか、今日のアニキは無精髭を剃ってきている。
やべ……また笑いが込み上げてきた。違うことを必死で考えていると、アニキが300万を数え終えた。そして契約書を取り出して、俺に渡してきた。
「完済だ。もうあのアパートには用はねぇ。今日は半年も返済が滞っている奴の店に行くぞ」
「はい」
良かった。どうにかこらえられた。ったく。ラミカの奴のおかげでこっちは大変だぜ。