1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



気分が悪くなったあたしはもう家に入ろうと鍵を取り出した瞬間、腕を後ろから強く掴まれた。


「痛っ」


「ねーちゃん、話は聞いてたぜ? 親父は借金とお前だけを残して蒸発したってか?」



いつの間にいたんだろう?お兄さんとたまに一緒に来ていた借金取りのおじさん。


お兄さんより言葉は荒いし、いかつい体格に鋭い目付きが怖くてこの人とは仲良くなれなかった。



「アニキ! 待って下さい! 親父のほうを探しましょう。まだバックレてから3日しかたってないし」


「何なめたこと言ってるんだよ? ここにいい商品を置いて行ったんだ。借りたもんはキッチリと返さなくちゃな?」



商品?あたしを上から下までなめ回すように見てくる。


バカなあたしでもピンチなことは分かった。



「いやあああ!!」


「いてっ!」



思いっきり空いた手のほうで、ヤクザのおじさんの額を鞄で殴った。怯んで、腕が離された瞬間、超絶ダッシュ!



商品にされてたまるもんかいっ!!





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